
水素利用技術を生かした低炭素社会実現のため、また
水素の安全な製造、輸送、貯蔵、充填など、水素利用のトータルシステムを構築するため、
産官学が一体となった水素利用プロジェクトが推進されています
福岡県は、水素研究と関連産業集積を積極的に行い、水素エネルギー社会の実現を目指しています。
地元九州大学が文部科学省の「21世紀COEプログラム」で水素分野を担当し、豊富な水素研究設備を整えていること、産業化の実現を支援する多彩な製造業が集積していることなどから、福岡県を「国内で水素研究が最も進んだ地域」と位置づけています。
その一環として、2004年8月3日、水素エネルギー分野におけるわが国最大の産官学連携による「福岡水素エネルギー戦略会議」を設立。環境にやさしい水素エネルギー社会を世界に先駆け実現するため、「福岡水素戦略(Hy-Lifeプロジェクト)」を展開しています。
実証活動では、家庭用燃料電池150台を、福岡市のベッドタウンである前原市の住宅地に集中的に設置した「福岡水素タウン」や、工場から得られる副生水素をパイプラインで住宅や公共施設に供給する北九州市の「北九州水素タウン」などの活動を通し、必要なデータの収集。工場からの副生水素をパイプラインで市街地に直接共有し、一般家庭や商業施設などのエネルギーとして利用する世界初の取り組みとして注目されています。
政府は2010年12月に水素インフラに関する規制緩和の工程表を関係省庁間で共同して作成。水素供給・利用技術研究組合(HySUT:ハイサット)は、12月16日には羽田空港と都心を結ぶ燃料電池バスの運行を開始しました。
2011年1月13日にはトヨタ自動車、日産自動車、ホンダの自動車大手とJX日鉱日石エネルギー、出光興産、岩谷産業など13社が「燃料電池車(FCV)の国内導入と水素供給インフラ整備に関する共同声明」を公表。2015年に水素充填所を約100カ所設置すると共同発表しました。
経済産業省は「エネルギー基本計画の趣旨と合致するもの」という立場を明確化し、「水素充填所を4大都市圏に集中的に普及」という方向性を打ち出しています。
以上のように、官民挙げて水素エネルギーの導入・普及に積極的に取り組んでいるところですが、水素を液化又は高圧化した状態で輸送・貯蔵する等、水素を高いエネルギー密度で取り扱う場合の水素物性については、いまだ世界的にも知見の集積が乏しいのが現状です。
高性能かつ先端的水素貯蔵材料開発に必要な水素貯蔵に関する基本原理の解明及び材料の応用技術に必要な基盤研究は「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)」により実施中であり、水素供給インフラを支える材料、機器及びシステム開発に関するブレイクスルーに繋がることを企図しています。
また、水素供給に関わる基盤技術(製造、貯蔵、輸送)の開発、水素ステーションを安全に運用するための研究だけでなく、水素ステーションの今後の普及に向けては、建設コストや運営コスト、保守コスト等のさらなる低減を図り、市場を見据えたビジネス形成に繋げるための「環境整備」が必要不可欠です。